世の中が「やばい」くらいのスピードで激変している。
AIの進化を見ていると、今生まれた子供たちが大人になる頃には、一部の優秀な人を除いて「人間がまともに労働できない世界」が現実味を帯びてくる。
全員FIREが意味するものとは
政府がベーシックインカムを配り、全人類の生存が最低限保障される。誰もが働かずに食っていける。
一見すると、それは全人類が念願の「FIRE(経済的自立と早期リタイア)」を達成した理想郷に見える。
だが、現実はそんなに甘くない。
現在のFIRE達成者が数ヶ月で直面する「強烈な虚無感」を思い出すといい。
毎日が夏休みになった人間は、社会とのつながりを失い、「自分は誰からも必要とされていない」という尊厳の危機に瀕する。
これまでは「いつでも社会(労働)に戻れる」という前提があったから耐えられた。
しかし、未来の子供たちが放り込まれるのは、社会の側から「お前の労働はもう不要だ」と永久にシャットアウトされる世界だ。
生きている意味を見失う不幸
生存の苦しみが消えた後に残るのは、「何のために生きているのか分からない」という質の変わった不幸だ。
その結果、未来でも自殺者は減らないかもしれない。
むしろ、社会的役割を奪われた絶望から、若年層の自殺は高止まりするか、増える可能性すらある。
特に、次世代を産み育てる可能性を持つ若い女性の喪失は、少子化を極限まで加速させ、社会の持続可能性を根底からへし折る。
お金で愛を得ることが不可能な時代に
さらに残酷なのは、恋愛と人間関係のルール変更だ。
身も蓋もない話だが、これまで「お金(経済力)」は、容姿やトーク力が劣る人間を救う最強の敗者復活システムだった。
「見た目はパッとしないが、必死に働いて稼ぐから家族を養える」という後天的な努力が、生存のための結婚市場では強力な武器になっていた。
しかし、全員の経済力がフラットになる世界では、この裏ワザが使えなくなる。
お金のフィルターが外れた恋愛市場に残されるのは、「容姿」「声」「共感力」「ユーモア」といった、持って生まれた純粋なスペックの殴り合いだ。
魅力のある一部の人間が異性を独占し、持たざる者には一瞥もくれない。
お金でごまかせない分、現在のスクールカーストが大人になっても一生固定化されるような、生々しく残酷な格差社会が到来する。
選ばれない人々は、自分を100%肯定してくれる完璧な「AI恋人」やバーチャル空間へ逃避し、人間関係を諦めることでその不幸を麻痺させていく。
誰もが生活のために心を偽らなくていい自由な世界の裏側は、極限までピュアで実力主義な地獄だ。
自分の人生に意味を与えるのは自分自身
「働かなくても食える未来」と「お金で魅力をカバーできる現在」、どちらがより残酷だろうか?
いずれにせよ、このルール変更はもう誰にも止められない。
便利さの誘惑、国際的な開発レース、資本主義の自動ブレーキのなさ。
これらが複雑に絡み合い、世界は確実にディストピアへの坂道を転がり落ちている。
テクノロジーがどれだけ進化しても、人間の「心が飢えて死ぬ」のを防ぐことはできない。
この止められない未来を生きる子供たちに必要なのは、勉強して良い会社に入ることではない。
現実の巨大な格差から目を背け、身近な数人を徹底的に大切にすること。
そして、誰かに必要とされなくても、自分自身で日常に狂気的なまでの生きがいを見つけ出す力——すなわち「退屈に負けない力」だけなのだ。

