私の老犬は斜頸により首が曲がっている。
そのため、水を飲む際に器に顔をつけるのが大変だ。
体を自由に動かせなくなってきているので、体を起こしている体勢を維持することも難しい。
加えて、白内障や角膜ジストロフィーの影響で目がよく見えていない。
食べ物ならばまだ匂いで分かるのだろうが、水は匂いがしないので目の前にあっても存在を認識できていない。
仕方なく犬の口先を掴んで、水が入ったお椀に鼻先を突っ込ませていたが、このやり方は犬が嫌がるので、飼主としても心身の負担が大きい。
老犬介護の時期に入ると、犬が嫌がることをしないといけない機会が増えるので、精神が摩耗していく。
16歳までは全然鳴かなかった犬も、ここ数年は信じられないくらい鳴くようになった。
犬が嫌がることは出来るだけしたくない。
今は水を与える際は、シリンジを活用することが多くなった。
シリンジとは注射器のことである。
シリンジでならば楽に水を飲ませることができる
水を満タンにしたシリンジを使って、口元から水をポトポトと垂らしてやると、ペロペロ飲み始める。
この方法だと、犬が寝た体勢のまま水をあげることができるので、非常に楽だ。
器に口先を突っ込む必要もないので、嫌がることもない。
シリンジがないときは本当に大変だった。
器から水を飲ませるとなると、片手で犬を抱き起こし、もう片手で水の入った器を犬の口元に近づけつつ、犬の口先を器の中に突っ込ませるという、手が2本じゃ足りないような作業に毎回悪戦苦闘していた。
水を飲ませるだけで、ほとほと疲れきってしまっていた。
介護とは、生存に必要なありとあらゆる行為に介助が必要になる状態のことだから、水をあげるだけで体力をたくさん消費してしまっていては、とても1日もたない。
老犬介護の基本は省エネなので、楽できるところは楽をするという意識が非常に大切だ。
シリンジはネット通販で購入することができる。
私が使用しているのは、テルモの10mlシリンジ。
大きさが手頃なので、片手でも使いやすい。
動物病院でも頼めば売ってもらえるかもしれない。
私は動物病院で貰ったものを使っている。
とはいえ、毎回貰うのも煩わしいので、次からは通販で購入する予定だ。
同じ注射器を使い続けるのは不衛生なので、一週間で使い捨てるなどルールを決めて、衛生的な環境を損なわないよう注意して欲しい。
口元に注射器を持っていくと、食べ物と勘違いするのか注射器にガブリと噛みついてしまうことがある。
ある程度使えばボロボロになってしまうのは避けられない。
シリンジを購入する際は、1本ずつではなく、まとめて買いしてしまった方が良い。
1本2本ダメになっても気にならないし、送料の節約にもなる。
まずは試しに3本セットを購入して、実際に使用してみて問題ないようならさらにたくさんの本数をまとめ買いする方法がオススメだ。
たくさん購入するほど、1本あたりの単価は安くすむ。
さらに大きいサイズのシリンジ(注射器)もある
お湯で溶かしたウェットフードを飲ませたりする場合や、大型犬に水を与える場合は、10mlのシリンジよりももっと大きなサイズの方が使い勝手が良いだろう。
私の犬が2017年に病気で一時的に食事をしなくなってしまったときは、10mlサイズのシリンジで溶かしたウェットフードを与えたが、容量が小さすぎて非常に使いづらかった。
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20mlや30mlといったサイズも販売されているので、是非活用して欲しい。
まずは実際の使い心地を知るために、少量から注文するようにしよう。